とりあえず計算(動作確認)
スタートメニューからコマンドプロンプトを開きます。
作業用ディレクトリを作成します。このブログでは、まずDドライブにQEを用意し、下層に各計算用ディレクトリを用意することにします。Usersの後のディレクトリ名(上記キャプチャ画像の場合、h2)は、Windowsへのログインユーザー名なので、各自異なります。以下の具合で、ディレクトリ作成および移動をします。
C:¥Users¥h2>d: D:¥>mkdir QE D:¥>cd QE D:¥QE>mkdir test01 D:¥QE>cd test01 D:¥QE¥test01>
さて。テキストエディタで、以下のファイルを作成します。ファイル名はAl.inとします。
コマンドプロンプトで以下を入力し、計算実行です。
D:¥QE¥test01>pw -in Al.in > Al.out D:¥QE¥test01>
私のマシンの場合、10秒ほどで計算が完了しました。計算が正常に終わっていれば、以下のファイル構成になります。コマンドプロンプトで以下のコマンドを入力します。
D:¥QE¥test01>dir ドライブ D のボリューム ラベルは ***** です ボリューム シリアル番号は ****-**** です D:¥QE¥test01 のディレクトリ 2015/10/19 19:41 <DIR> . 2015/10/19 19:41 <DIR> .. 2015/10/16 01:36 384 Al.in 2015/10/19 19:41 22,489 Al.out 2015/10/19 19:41 <DIR> al.save 2015/10/19 19:41 3,670,272 al.wfc 3 個のファイル 3,693,145 バイト 3 個のディレクトリ **,***,***,*** バイトの空き領域 D:¥QE¥test01>
インストール
ダウンロードしたqe-5.2.0-64bit-serial.exeをダブルクリックします。"次の不明な発行元からのプログラムにこのコンピュータへの変更を許可しますか"と尋ねられますが、気にせず、"はい(Y)"を選びます。
Setupウィンドウが開かれます。素直にInstallボタンを押します。
インストールが開始されます。
しばらく待つとインストール完了です。Closeボタンを押します。
以上です。デスクトップやWindowsスタートメニューには何の変化もありません。
環境変数が自動的に変更されます。システムのプロパティから参照できます。詳細設定タブにて環境変数(N)...ボタンを押すと(左下図)、環境変数ウィンドウ(右下図)が開きます。
ユーザー環境変数%Path%に、
C:\Program Files\Quantum ESPRESSO 64-bit 5.2.0-serial\bin
が追加され、
システム環境変数%ESPRESSO_PSEUDO%が以下の内容で新規に生成されています。
C:\Program Files\Quantum ESPRESSO 64-bit 5.2.0-serial\pseudo
まずはシリアル実行版をダウンロード
ダウンロードページには、Windows用インストーラーが3バージョン分(5.2.0, 5.1.2, 5.1.1)公開されています。現段階での最新バージョン5.2.0を導入することにします。
さて。拡張子がexeのファイルがWindows用インストーラーです。ファイル名は、
qe-X.X.X-YYbit-ZZZZZ.exe
の形式です。X.X.Xはバージョン、YYはOSのビット数(32または64)、ZZZZZは処理方法(シリアル(serial)または並列(mpich2))です。ビット数と処理方法が2つずつあるので、合計4種類になります。下の図で淡い赤で塗ったファイル(順序が同じとは限らない)です。
まずはシリアルを導入することにします。当方のWindows環境は、Windows 7 Home 64 bitなので、QE-5.2.0-64bit-serial.exe (67 MB)をダウンロードします。ご利用の環境(OSのビット数)に合ったファイルをダウンロードして下さい。
QEダウンロードページ
とりあえず、
へ行ってみる。奇麗な図でワクワク。こんな計算をできるようになりたいものだ。
次に、メニューのDOWNLOADをクリックしてみる。 引用論文情報が目立つ。少し分かり難いがページ下気味にdownload pageがあるので、これをクリック。
ダウンロードページに到達。本日時点の最新リリースは5.2.1。Windows用バイナリがあるのは、5.1.1 (2014-11-13 01:00:00:00+01), 5.1.2 (2015-03-08 01:00:00+01), 5.2.0 (2015-06-20 00:00:00+02)。
Windows上で計算
第一原理計算。私は実験屋な/だったので,雲の上の存在です。それでも,理論屋が構築してくれたコードを,いつかは人並みに操れるようになりたいとの思いがあります。
しかし,理論屋が所有している本格的な環境を整えるのは,今の自分のスキルでは心理的に敷居が高いです。何より豚に真珠でしょう。一方,身に付けるには,実際に触れて触れて触れるのが良いと考えています。何事も,地道な訓練をしなければ身に付くはずもありませんので。
上記の一見矛盾した要求を解消する方法の1つに,手持ちの環境,つまりWindowsで第一原理計算を試すというものがあります。Windowsで一定の計算を実際に経験すれば,幾らか身に付くでしょうし,本格的な環境を整えるか否かの判断もできます。
世には多くの第一原理計算コードがありますが,大半はUnix互換環境で動作します。また,ソースコードを自分でコンパイルする必要もあります。cygwinを導入すればWindows上でも環境を構築可能ですが,計算以外の知識や手間は少なければ少ないほど嬉しいでしょう。
大変ありがたいことに,Windowsの実行形式を提供してくれている第一原理計算コードが2つあります。1つはabinit,もう1つはQuantum ESPRESSOです。情報量の点で後者に軍配が上がるため,主にQuantum ESPRESSO on Windowsを選びます。しかし,並列して前者も触ります。両者のコードで計算上何の違いがあるかは知りません。それも含めて,実践で学んで行く心持ちです。
また,第一原理計算を結晶構造解析とリンクさせたいという思いがあります。結晶構造解析はWindowsで実施しているユーザーも多いため,本ブログが何かの参考になれば幸いです。
はじめに
はじめまして。本ブログは,第一原理計算を少しだけ身に付けてみたい素人がWindows上Quantum ESPRSESOやabinitを使って遊ぶ内容の覚え書きです。専門家ではないので,内容が正しくない可能性もあります。各自の責任でご覧下さい。個人的なモチベーション維持のために,ブログを書いてみることにしました。それでも挫けたらごめんなさい